会話の悩みは“話し方”ではなく“話さなさすぎ”でもない
人と話すと疲れる、続かない、気まずくなる──多くの悩みは「自分がうまく話せない」ことが原因だと考えがちだ。
けれど、本書で示されている視点はまったく逆だ。
会話は「どう話すか」ではなく、どう相手に話してもらうかで決まる。
この逆転発想は、コミュニケーションへの苦手意識を静かにほどいてくれる。
会話が変わる“聞き方”の視点
会話で満足感を得るのは、話した人だ。
だからこそ、自分が話す量を増やすほど、相手の満足度は下がりやすくなる。
相手が“話したくなる”条件は意外とシンプル
- 否定されない
- 遮られない
- 乗っ取られない
- 決めつけられない
人が安心して口を開くのは、たったこれだけの土台が整ったときだ。
いくら話題を準備しても、この土台が欠ければ会話はぎこちなくなる。
「興味」は会話のエンジンになる
話を聞けない最大の理由は、技術ではなく“興味の不足”にある。
興味とは才能ではなく、姿勢だ。
自分がその話題を知らなくても、
「なぜその人はそれを語りたいのか」という人への関心に切り替えるだけで、
質問は自然に生まれ、会話が流れ始める。
話しかけやすさは“明るさの演技”でも作れる
性格を変える必要はない。
「なるほど」「そうなんですね」と肯定から入るだけで、
相手は話しやすいと感じる。
お笑い芸人が舞台でキャラを切り替えるように、
ビジネスの場だけ“話しやすい自分”を演じるのは誰にでもできる工夫だ。
今日からできる一つの実践──「7:3」だけ意識する
会話で相手に話してもらうための技術は多いが、
まずはたった一つだけ試せば十分だ。
試すのは「比率」だけ
会話の7割を相手に使ってもらう。
これだけを意識する。
方法は簡単で、質問を一つ多くし、結論を急がず、相手の最後の一言に乗せて返すだけだ。
例:
相手「最近スポーツ始めたんだよね」
自分「へえ、何を始めたの?」(質問)
相手「テニス」
自分「どうしてテニスにしたの?」(もう一つだけ質問)
自分は最小限しか話していないのに、会話は自然に続く。
負荷が軽いのに効果が大きい方法だ。
会話は“相手の世界を見に行く”行為だ
会話の上達は話術ではない。
相手の世界に小さく踏み込み、その人の物語を聞きに行く姿勢にある。
- 興味を持つ
- 否定しない
- 乗っ取らない
- 質問をひとつ増やす
これだけで、会話は驚くほど滑らかになる。
そして気づくはずだ。
自分が話すより、相手の話を聞くほうが疲れないし、むしろ楽しいということに。
今日からの会話が、少し軽やかに変わればうれしい。
